・ライフラインは,都市活動を維持するための重要な都市施設であり,その機能の停止は過去の地震被害
でもわかるように市民生活や社会産業活動に大きなダメージを与えてしまう。
・過密した都市の風景であるが,ライフラインは面的に密に,さらに複雑に配置されている。
これらの機能は,都市としてなくてはならないものである。
・ライフラインシステムはこれら6つのシステムがある。
・都市活動で一番頼っている電気を供給する電力システム
・市民生活における暖房,炊事,給湯等に必要な都市ガスシステム
・人の生命維持に必要な飲用水と生活に必要な水洗トイレ,風呂等の水を供給する上水道システム
・台所や風呂での使用済みの上水の排水やトイレの汚水,さらには雨水を排水する下水道システム
・普段の生活でなくてはならない,携帯電話・有線電話,FAX,インターネット等の回線や銀行のオンライン
をはじめとする情報伝達のための通信システム
・通勤,通学,業務等の交通行動に必要な道路網や鉄道路線網等の交通システム
・都市域に強い地震が発生すると,必ずといってライフラインは壊れる。
・なぜ壊れるのかという質問に対して,簡単に答えるとすると,ライフラインは,都市化が
進むと同時にライフライン網も後追い的に整備され,その構成要素が複雑で,古いものも多く広域に広
がっているからということがいえる。
・たとえば,上水道の配水管は,人家のあるところには必ず配管されている。その延長は想像以上に長く,
いろいろな性格を持った地盤の中に埋設され,さらには地中から地上へ出るところもある。
・地震は,地盤を揺らし,埋設管に外力を与えることになる。その地盤の複雑な動きに埋設管は,耐えなけ
ればならないわけであるが,古い管や古い継手の部分は,これに耐えられない。被害軽減対策のもと
に,古くて弱い施設を,地震に強い新しいものに変えていく対策が行われているが,これが間に合っ
ていないというのが現実である。
・過去の地震で必ずライフラインが壊れていることがわかる。
・地震直後に停電が約100万戸,断水が122万戸,都市ガスの供給停止が約86万戸の供給支障が発
生し,電話も約47万回線が不通となった。
・被災地では,生活に必要な電気,水,ガスをはじめとする,すべてのライフライン機能の被害が同時に発
生した。
・夜も電気の使えない中での被災生活
・生命を維持するために必要な1日最低3リットルの水の確保
・1月の厳冬期での暖房や給湯もない風呂も入れない生活など
・健康で文化的な生活と利便性を追求した都市で生活するための機能が,神戸を中心とした阪神地域で,
大規模にダウンしてしまった。
・さらに,ライフライン機能の完全なる回復に約3ヶ月も要してしまってことは,過密化した都市での地震に
対する脆弱性を示したことになる。
・1995年1月17日午前5時46分発生のM7.3の兵庫県南部地震では,阪神地域へ電力供給をしている関西
電力(株)の電力需要は,地震発生直前には1,270万kWであったが,地震時には940万kWに急減し,
約260万件への供給に支障が生じた。
・道路事情の悪化,家屋の倒壊や不在家屋の状況確認などのため,配電線の復旧は進まず,供給可能な需
要家への応急送電が全面可能にヒなったのは1月23日の午後3時であった。電力供給の支障は,変電所
の主要機器の損壊や架空・地中の送変電設備への被害によるところが大きかった。
・同社神戸支店管内では,震度7地区で1,177基の配電柱が折損したが,そのうち83%(967基)は建物倒壊に
起因するもので,地震動による直接被害は12%であった。また震度6~7の液状化発生地域では,地中配
電ケーブルの被害による供給支障が集中した。
・暗闇の状態が1週間続いた。